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いしふくコラム

【松本英毅氏】地下鉄に乗って、ビーチに行ってきました

  • #相場情報

2026年08月26日

いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。

今回は、よそうかい代表 松本英毅氏にコラム「地下鉄に乗って、ビーチに行ってきました」を執筆いただきました。

地下鉄に乗って、ビーチに行ってきました

執筆日:2026/08/22

ニューヨーク市内には、地下鉄で行くことのできるビーチがあるのです

8月もはや後半、夏ももうすぐ終わりですね。ニューヨークはやっぱり北国、8月の初めまでは厳しい暑さが続いていましたが、最近は朝晩に上着が必要になるほどまでに冷え込むようになりました。そんなニューヨークの短い夏を満喫するため、ビーチに行ってきました。市内には、地下鉄で行くことができるビーチがあるのです。一つはコニー・アイランド、こちらは結構有名なので、名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。海岸沿いには遊園地や水族館があり、米国最古とされている木造のジェットコースターもあります。どちらかというと家族連れのビーチという感じですね。もう一つがロッカウェイ・ビーチ、こちらは人も少なめ、もう少し大人向けという感じです。このビーチは、市内で唯一サーフィンが許可されているビーチでもあるのです。遊泳用とサーフィン用の区画がきっちりと分けられており、それぞれが存分に楽しめるという感じになっています。

もう一つ、8月のニューヨーカーの楽しみといえば、サマーストリートでしょう。これは8月の土曜日に、市内の主要道路の一部を歩行者天国として開放しようとする企画です。市内の交通量を減らし、サイクリングやウォーキングの魅力を広めようというのがそもそもの目的で、2008年に始まりました。当初は実施日も、解放される区間も限定的、時間も午前中だけだったのですが、その後年を重ねるごとにドンドン拡大、今年は時間も午後3時まで延長、各所でイベントなども盛大に行われていました。

トランプ政権の金利引き下げの試みは、成功するのでしょうか?

マーケットですが、今月は金相場への影響も大きい、大きな出来事がありました。19日に米財務省が、期間が長めの米国債の買い戻しオペレーションの額を、1回あたり20憶ドルから少なくとも40憶ドルに倍増させる方針を示したのです。これを受けて米国はもちろん、世界的に長期金利が低下、金には大きく買いが集まったのです。トランプ大統領は、第二次政権の発足直後から、長期金利の上昇にはかなり神経質な反応を見せていました。2025年4月に大規模な関税を打ち出した際には、その後すぐに発動を90日間猶予することを決定、市場は大混乱に陥りましたが、即時の関税賦課を撤回することになったのも、長期金利の上昇を懸念したためと言われています。今回はイランとの停戦交渉が暗礁に乗り上げ、ホルムズ海峡の実質的な閉鎖が続く中、原油価格の上昇やそれに伴うインフレ高止まりへの懸念を背景に長期金利が上昇基調を強めていたことが、買い戻し増額の決め手となったようです。

もっともこの政策によって、実際に金利を押し下げることができるのかは微妙なところです。政府は中央銀行の金融政策を通じて、短期金利はある程度コントロールすることができますが、長期金利は基本的に市場で決まるものです。国債の買い戻しによって短期的には金利の上昇も抑えられるのかもしれませんが、中長期的には返って金利の上昇を助長する恐れも高いと見ておいたほうがよいでしょう。金利の低下は経済を刺激し、インフレ圧力を一段と高めることになります。現在米国の中央銀行であるFRBないでは、インフレに対する警戒感が強まる中で、将来的に金利を引き上げる必要があるとの意見が優勢となっています。そうした状況下で米政府が強引に長期金利を押し下げようとするならば、当然ながらFRBの金融政策にも影響が出てくるでしょう。短期的には、金利の動向もそれに大きく影響される金相場も、不安定な値動きを続けることになりそうです。まずは28日にジャクソンホールのシンポジウムで予定されているウォーシュFRB議長の講演で、どのような方針が示されるのかに注目したいと思います。

インフレや金利上昇で景気悪化が進むなら、金には買いのチャンス到来?

トランプ政権がなりふり構わぬ手段で長期金利を引き下げようとしてきたことは、それだけ政権が今の状況に危機感を抱いているということなのでしょう。トランプ大統領はベネズエラのマドゥロ大統領拘束作戦が大成功となった余勢を買ってイランへの攻撃を開始しましたが、当初は短期間で終わると踏んでいた戦争も半年を過ぎようとしています。この先何らかの手を打たなければ、足元の金利上昇が本格的なものになってしまうとの懸念が高まったことが背景にあるのでしょう。11月初めの中間選挙まであと2ヶ月あまり、これ以上の状況悪化は与党共和党にとっても致命的なものとなる恐れがあるからです。

さて今回の金利上昇の金相場への影響ですが、やはり短期的には弱気に作用すると考えておいたほうがよいでしょう。鍵を握るのは米10年債の利回り、これが5%の大台を上回るようなことがあれば、市場が金利上昇の影響を本格的に懸念するようになり、相場全体が大きく動き始める可能性があると思われます。金利を生まない金にとって、金利の上昇はどのような状況下でも売り材料となります。

もっとも中長期的には、そうした金利上昇を嫌気する形での下落は、新たな買いのチャンスになると見てよいのではないでしょうか。インフレを嫌気する形で景気が本格的に減速、雇用の悪化が顕著になってくれば、FRBも景気や雇用を下支えするためにも利下げに転じざるを得なくなってくるでしょう。景気の悪化に伴ってインフレ圧力が後退することも考えられますし、トランプ政権が一方的にイランから手を引くシナリオも現実味を帯びてくると思われます。前回のコラムの繰り返しになりますが、経済状況に大きな変化が見られれば、相場の流れも劇的に変化することになります。その際に真っ先に流れが変わるのは、インフレや金利の上昇を他の市場よりも先取りする形でこれまで大きく値を下げてきた金相場となる可能性は高いと思われます。

1 ロッカウェイ・ビーチには。マンハッタンから地下鉄で行くことができます
2 NY市内で唯一サーフィンができる、ロッカウェイ・ビーチ
3 すっかり8月の風物詩となった、サマーストリート
4 グランドセントラル駅を通る自動車専用道路も、この通り
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