いしふくコラム

【相場情報】2021年のプラチナ相場を振り返る

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2022年01月28日

国際的にドル建てで取引されているプラチナについて、日々海外相場を注視して当社の原材料を仕入れている資材購買担当者から見た相場概況をご案内します。

  • 当社で発表している円建てプラチナ価格は、ドル建てで値決めされたプラチナ価格を円換算する際に為替相場の影響を強く受けます。ドル建てプラチナ価格は値上がりしていても、為替相場が円高に転じて円建てプラチナ価格は値下がりするといったケースもあります。
    本稿では主にドル建てプラチナ相場の動きをご紹介しますが、あわせて為替相場の動きにもご注目ください。

については、こちらの記事でご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください

2021年の最高値・最安値

国内プラチナ価格(税込)

最高値:02/16(火)

 小売価格  5,065円/g

 買取価格  4,934円/g

最安値:09/21(火)

 小売価格  3,678円/g

 買取価格  3,536円/g

ロンドンプラチナ価格

最高値:02/16(火)

 午前 1,306ドル/oz

最安値:12/15(水)

    911ドル/oz

為替(TTS)

最高値:01/06(水)

 103.68円

最安値:11/25(木)

 116.33円

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経済回復への期待から年内最高値を記録

1,101ドルで始まった1月のロンドンプラチナ相場は、英国の新型コロナウイルスの感染状況や米雇用統計の悪化を嫌気し、一時1,070ドル付近まで下落すると、その後は割安感から1,120ドル台まで値を戻し、同水準で推移しました。
注目されていた米ジョージア州上院選挙では民主党の候補者が勝利。米国の経済対策への期待や、新型コロナワクチン普及等を追い風に2月半ばには1,306ドルまで急騰しました。
その後、利食い売りやドル高に押される中、3月初頭にはパウエルFRB議長が早期利上げ観測を抑制する姿勢を見せ、米株価が急騰。安全資産としての金売りに連れ1,120ドル近辺まで下落しました。

為替

1月から3月のドル円相場は、103円からスタートし、アメリカの経済政策への期待感の高まりや米長期金利上昇を材料に円の下落が続き、3月には110円台まで下落しました。
円建てプラチナ価格は、2月のドル建て価格上伸に従い、2月16日に円建て年内最高値を記録しました。

工業需要の先行き懸念から下落

4月に入り、堅調な雇用統計とドル安を眺め1,240ドル台まで急伸しましたが、中盤にかけては新型コロナウイルスの感染再拡大懸念から1,160ドル台まで急落。しかし、同月下旬に発表された新規失業保険申請件数と3月小売売上高の内容が好感され1,240ドル台まで回復しました。その後は概ね同水準で推移しましたが、5月に入ると雇用統計が悪化し金融緩和策継続観測の台頭でドルが軟化。一時1,260ドル台を試すも、米株やパラジウムの下落に連れ再び1,200ドルを割り込みました。6月の米FOMCでは早期利上げが示唆され、商品市場全体がパニック売りの展開となり、プラチナも1,050ドル付近まで下落しました。

同水準で推移する中、7月半ばには、パウエルFRB議長の議会証言を受けた金融緩和早期縮小への警戒感の後退で一時1,140ドル台を回復するも、新型コロナウイルスの感染再拡大懸念による米株安に連れ1,100ドル台まで再び水準を下げました。8月中旬には大手自動車メーカーの生産減の報道や、軟調な米株と工業需要の先行き懸念から値を崩し9月には950ドル付近まで推移しました。

為替

4月には米長期金利が低下し、1ドル109円まで上昇したものの、6月のFOMCで利上げ実施の前倒しが示唆されたことで111円近くまで下落しました。
7月には、欧米の金利低下と新型コロナウイルス感染拡大によるリスク回避から、109円台後半まで上昇しました。
しかし、8月にはアメリカでのワクチン接種の進展で景気回復への期待感が広がり、米長期金利の上昇も受けて円安傾向が続き、さらに9月にFOMCで11月のテーパリング(量的緩和縮小政策)が強く示唆されると、111円台半ばまで下落しました。
円建てプラチナ価格は、9月のドル建て価格に従い下落し、9月21日に円建て年内最安値を記録しました。

利上げ観測、オミクロン株のパニック売りに押され年内最安値

インフレ懸念から金と共に買われ11月には約4ヵ月ぶりに1,100ドル台まで上伸しました。しかし、その後は利益確定売りに押される中で、パウエル米FRB議長の再任で再び早期利上げが意識されると1,000ドル台を割り込みました。
下旬には新型コロナウイルスの新変異株であるオミクロン株が出現し、パニック売りも加わり、12月半ばにかけ910ドル台まで下落しました。同月半ばにイギリス中央銀行の利上げ発表と欧州中央銀行の資産購入政策の終了予定を発表したことでドルが軟化すると、再び930ドル台まで水準を戻しました。その後、米株高による工業向け需要増加への期待感から970ドル台まで上伸し、最終日には960ドル台付近まで売られ年内の取引を終了しました。

為替

10月には投資家のリスク選好姿勢が強まったことで、114円台まで下落。さらに11月には、米長期金利上昇を受け、115円台まで下落しました。
ドル円相場はその後、オミクロン株流行を受けて113円~115円台をもみ合う展開となりました。
ドル建てプラチナ価格は12月に年内最安値を記録しましたが、円建て価格は円安に支えられ、最安値とはなりませんでした。