【相場情報】2023年の金相場を振り返る
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2024年02月22日
国際的にドル建てで取引されている金について、日々海外相場を注視し当社の原材料を仕入れている資材購買担当者から見た相場概況をご案内します。
プラチナについては、こちらの記事でご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
2023年金相場・為替の推移
アメリカの経済指標に左右される展開
年初1,835.05ドルでスタートしたロンドン金相場は、米12月消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けた米長期金利の低下、ドル安を背景に徐々に値を上げる展開から1月中旬に1,900ドルを突破。2月初めのFOMCでは0.25%の利上げが決定したものの、その内容から早期利上げ停止観測が浮上する中で1,950ドル台まで上昇しました。
しかし、その後は1月米雇用統計、1月米消費者物価指数と堅調な経済指標が相次ぎドルが上昇する中で金価格は下落に転じ、2月27日には年間最安値である1,809.05ドルまで下落しました。
欧米の金融不安に急伸後、利上げ観測に下落
下落の流れから一転、3月に入り米シリコンバレー銀行閉鎖、米シグネチャー銀行の事業停止やクレディスイスの経営危機による欧米の金融不安の広がりから、投資家のリスク回避姿勢が強まる中で金は急伸しました。3月中旬には1,900ドル台を回復すると、同月のFOMCでも利上げ停止が示唆され、米長期金利の先高観後退なども材料となって4月上旬には2,000ドルを突破し、4月半ばには米経済指標悪化も相まって2,050ドル台まで値を上げました。
以降は強弱入り混じる経済指標やFOMCを眺めながらも徐々に値を落とす動きに。2,000ドルから2,050ドル近辺で推移する中、5月半ばにFRBの高官が追加利上げの必要性を示すと下落に転じ、6月のFOMCでも追加の利上げが示唆されると月末には1,900ドルを割り込みました。7月には米6月消費者物価指数が急激な鈍化を示し一時1,980ドル台まで上昇したものの、8月に入ると堅調な経済指標が相次ぐ中で水準を下げました。9月中旬のFOMCで市場の予測に反して2024年の政策金利見通しが上方修正されると急落し、10月初めには1,820ドル台まで値を下げました。
中東情勢の緊迫化やドル安進行により史上最高値をマーク
しかし、10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルへの攻撃を開始し、イスラエル側も激しい空爆で応酬するなど中東情勢の緊張が高まると、地政学リスクから金価格は一転急伸。1,900ドル台を回復し、11月初旬には弱い雇用統計結果も相まって2,000ドルを試す場面も見られました。その後、リスク回避の買いの一服、パウエルFRB議長の追加利上げへの言及を受けて1,930ドル付近まで下落しましたが、弱い経済指標の結果が相次ぎ、ドル安、長期金利低下が進む中でFRB高官が一転利下げに言及すると、11月下旬に2,000ドル、11月末には2,050ドル付近まで上昇しました。
12月中旬にかけては利確売りや堅調な雇用統計を受けた下落の局面も見られましたが、FOMCで3会合連続での金利据え置きが決定し、2024年の3回の利下げ見通しが示されると上昇に転じました。米第3四半期GDPが下方改定される結果を受けて早期利下げ期待が広がると共にドル安が進行すると、28日には史上最高値である2,078.40ドルまで上伸。月末にかけては利益確定の売りに押され2,060ドル台まで下落し、この年の取引を終えました。