【相場情報】2023年のプラチナ相場を振り返る
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2024年02月22日
国際的にドル建てで取引されているプラチナについて、日々海外相場を注視して当社の原材料を仕入れている資材購買担当者から見た相場概況をご案内します。
金については、こちらの記事でご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください
2023年プラチナ相場・為替の推移
欧米の金融不安や供給懸念から年内最高値を記録
年初1,086ドルでスタートしたロンドンプラチナ相場は、世界的な自動車生産の回復の遅れや、米長期金利の上昇やドル高を背景に下落を続け、米株価の急落で1月末に1,000ドルを割り込むと、その後も米雇用統計や米消費者物価指数の堅調な結果に伴うドルの上昇に圧されて2月半ばにかけ910ドル付近まで下落しました。
しかし、3月に入ると米雇用統計の悪化を受けたドル安が進行する中、米シリコンバレー銀行閉鎖、米シグネチャー銀行の事業停止やクレディスイスの経営危機を背景に欧米金融不安が増大。投資家のリスク回避姿勢の広がりがプラチナにも波及すると反転上昇し、3月中旬から下旬にかけては概ね960~980ドル台での推移が続きました。以降も上昇基調は続き、主要産出国の南アフリカ共和国における電力不安に伴う供給懸念や需要大国である中国の1~3月期の国内総生産(GDP)の堅調な結果を材料に4月21日には年間最高値の1,128ドルを付けました。
米長期金利の上昇やドル高に上値が重い展開
米地方銀行ファーストリパブリック銀行の経営破綻や南アの電力供給不安の深刻化を背景に5月上旬に再び1,100ドルを突破する場面も見られましたが、米長期金利の上昇やドルの動きを眺めながら徐々に値を落とす展開に。6月中旬に中国の貿易統計が市場予測を上回る落ち込みとなったことで1,000ドルを割り込むと、6月末には欧州主要銀行の相次ぐ利上げによる景気後退懸念から900ドルを割り込みました。
以降、7月中旬や8月下旬~9月初旬にかけて米長期金利の低下などによる買い戻しの動きから1,000ドルを試すような値動きがありつつも、相場の支援材料に乏しいなかで価格を維持できず、米長期金利の上昇やドル高に上値を抑えられ10月末まで概ね860~940ドル台での推移が続きました。11月に入りFRB高官らによる利上げに対するタカ派的な姿勢が伝わると急落し、同じ白金族であるパラジウムの急落にも連れて11月13日には年間最安値の850ドルまで下落しました。
ドル安を追い風に1,000ドルを回復して越年
年間最安値を付けて以降は、米10月消費者物価指数(CPI)の鈍化に伴うドルの下落で900ドル台を回復し11月末にかけて920ドルから940ドル付近で推移。12月に入るとFOMCで3会合連続での金利据え置きが決定し、2024年の3回の利下げ見通しが示されるとドルが急落しました。英国のロシア産の取引金属の制限を新たな経済制裁として発表したことによるパラジウム大幅高や米ダウ平均の史上最高値更新が好感され、12月中旬に960ドル台まで上昇しました。その後も、米11月個人消費支出(PCE)物価指数の弱い結果に伴うドル安進行を追い風に買い地合いは続き、月末には1,006ドルの値を付けてこの年の取引を終了しました。