【池水雄一氏】ラオ・ゴールド・フェスティバル 2026
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- #金
2026年09月09日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、貴金属スペシャリストの池水雄一氏にコラム「ラオ・ゴールド・フェスティバル 2026」を執筆いただきました。

一般社団法人日本貴金属マーケット協会 代表理事、貴金属スペシャリスト 1962年生まれ兵庫県出身。1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社入社、その後1990年クレディ・スイス銀行、1992年より三井物産株式会社で貴金属チームリーダーを務める。2006年よりスタンダードバンク東京支店副支店長、2009年に同東京支店で支店長に就任。2019年9月より日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表理事に就任。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界各国のブリオン(貴金属)ディーラーでブルース(池水氏のディーラー名)の名を知らない人はいない。
ラオ・ゴールド・フェスティバル 2026
執筆日:2026/09/06
・ラオ・ゴールド・フェスティバル
今回は少し趣向を変えて、ラオスで行われた「ラオ・ゴールド・フェスティバル」について書いてみることにします。
9月4日から6日までラオスのヴィエンチャンで行われたゴールドの一大イベントと言っていいもので、昨年が第一回、今年は第二回目の開催でした。
「ラオス」
おそらく我々日本人にとってはちょっと馴染みの薄い国だと思います。僕にとってもそうでした。二年前にシンガポールのAsia Pacific Precious Metals ConferenceでラオスのLao Bullion Bank(LBB)と話をするまでは。
ラオス人民民主共和国(通称ラオス)は、インドシナ半島に位置する内陸国で、ASEAN加盟国です。首都はヴィエンチャン、人口は約733万人、通貨はキープ(Lao Kip)を使用しています。国土の約70%は山岳地帯や高原で占められ、メコン川が南北に流れ、農業や交通の基盤となっています。北は中国、東はベトナム、南はカンボジア、西はタイ、北西はミャンマーと国境を接しています。僕は今年(2026年)1月に初めて訪れ、今回は2回目の訪問になりました。1月はJBMA(日本貴金属マーケット協会)とLBBとのMOU(Memorandum of Understanding)の調印式に行き、今回はそれを受けて、このLao Gold Festivalに招待されたのです。初めて訪れた時の僕の印象は昭和のころの日本のイメージでした。時の流れがゆっくりしている感じで人々も優しい。心落ち着く国です。とても忙しいタイやベトナムとは全く違うイメージでした。 ラオスの平均年齢はなんと25歳。そして女性が自由に活躍していることが、日本人の僕には非常に印象的です。このイベントも圧倒的に女性が多く、日本の社会との雰囲気の違いがそういうところにもあるのかもしれません。

「Lao Bullion Bank」
このゴールド・フェスティバルの主催者はLao Bullion Bank(LBB)という銀行。本当は「銀行」というより「金行」というほうがぴったりくるビジネスモデルです。その名の通り、LBBはゴールドを個人顧客から預かり、それをゴールドを使う企業に貸し出すという、まるでお金をゴールドに変えたような面白い銀行であり、2年前2024年9月に創設されたばかりです。今年1月に初めて訪問したのですが、ロビーにはAutomated Gold Machine(ゴールドの自動販売機)があり、なんとクレジットカードで、1g、5g, 15g, 30gのスモールゴールドバーを買うことができます。そして今回は新しいマシーンとしてAutomated Deposit Machineというのが導入されていました。これはどんな形のゴールドでも(当然宝飾品も含む)このマシーンに入れると、中で溶かして20~30分くらいでゴールド純分を分析し、その純分を顧客がLBBに持っているGold Book(ゴールドの預金通帳)につけてくれる、というものです。日本のマーケットとは全く違う方向に凄いスピードで進化しています。

「ラオ・ゴールド・フェスティバル」
さてこの「ラオ・ゴールド・フェスティバル」は今年で2回目となります。9月4日金曜日から6日日曜日までの3日間のイベントです。ナショナルコンベンションセンターという巨大な会場で、3日間で10万人以上が来場するというすごいイベントでした。多くの宝飾業者がブースを出しており、当然すべてレプリカではなく本物のゴールド。この会場にあるゴールドの量はちょっと想像を絶する量だと思います。他の国ではさすがにまずありえないのではと思います。

3日間、政府、業界関係者、海外からの専門家ゲスト(僕もその一人でした。)がいろんなゴールドの分野の話をします。僕は最終の日曜日午前中にゴールドの工業分野での可能性についてスピーチをしました。その足でそのまま空港へ向かいました。ラオスは産金国であり、現在年間10トンくらいのゴールドを生産しています。その埋蔵量は500~1000トンと見られています。今年完成したリファイナリーは一年に150トンの生産キャパシティがあります。ラオスが一次産品(ゴールド)の生産で終わらず、それに価値を付加する産業を促進していくことが、今後のこの国のゴールド産業の重要な使命となりそうです。日本の貴金属関係企業とのコラボの可能性も高いと思います。今年の日本からの参加者は僕と日経の記者の二人だけでした。来年は日本から業界関係者が多く来られるようになれば面白いと思っています。


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