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いしふくコラム 【池水雄一氏】「貴金属投資いつ始めるの?今でしょ。」

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2026年10月14日

いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。

今回は、貴金属スペシャリストの池水雄一氏にコラム「貴金属投資いつ始めるの?今でしょ。」を執筆いただきました。

「貴金属投資いつ始めるの?今でしょ。」

執筆日:2026/10/01

貴金属の投資はいつ始めるべきなのか?」

今回はちょっとまじめな話。初めて貴金属、おそらく大部分の人には「ゴールド」だと思いますが、そのタイミングがわからないという話をよく聞きます。株や為替と同様にゴールドも常に月曜日から金曜日までマーケットが動いています。そのため一体いつ買うのがいいのかわからない、というのは当然と言えば当然の疑問です。そして残念な真実は、それに対する正しい答えは誰も持っていないということです。短期的な相場の行方が完璧にわかる投資家がいれば当然マーケットはすべてその投資家に従うでしょう。そうなればもはや「マーケット」が存在する意味はありません。全員が買い手もしくは全員が売り手となり、価格は一方向に永遠に動くことになります。それはもはやマーケットとは言えません。マーケットはいろんな見方をする投資家や実需家が存在するからこそ成り立っているのです。

昨年2025年の年初のゴールドは2800ドル近辺でした。それが一年少し後に5600ドルというちょうど2倍にまで上がるだろうと予測した人間は世の中にほとんどいなかったと思います。LBMA(London Bullion Market Association)の世界のアナリスト約30人による2025年相場予想においてもそれが顕著に表れました。最も近い予想は、なんと実際の年間平均価格よりも500ドルも低い価格でした。筆者もその30人の一人ですが、筆者の予想は700ドルも離れていました。大部分のアナリストが強気予想でしたが、それでも実際のマーケットはその遙か上でした。ちなみに2023年のこの予想コンテストで筆者は相場に最も近い予想をしてウイナーとなりましたが、そのときの予想と実際の価格の差は10ドルでした。ちなみに2位のアナリストは50ドルくらい差だったので昨年の500ドルという乖離はとても異常なものであったと言えます。ずっとマーケットをウォッチしているプロ中のプロの予想でも最も近い予想が、マーケットよりも500ドルも低かったのです。昨年はまさに誰も予想しえないマーケットでした。世の中がその熱に浮かされて、投資資金がどんどん貴金属に流れ込みました。日本でも昨年10月から12月くらいまでは、地金商のスモールバーの生産能力が投資家の買い意欲に追い付かず、二か月間販売が取りやめになったほどです。こんなことは筆者の長い記憶の中でもこれ以外に思い出せません。それほど新しい投資資金が貴金属に入ってきたのです。これほどの資金流入の最大の原因は、貴金属が上がったからです。資金が入ってきたから上がったのではと思う人が多いでしょう。それも正しいのですが、あくまで真実の一面です。どんどん買われた理由の最大のものは、貴金属が上がるから買う、そしてもっと上がるからさらに買いたい人が増えるという展開。まさに買いが買いをよぶという状態でした。それもそのはずです。昨年一年の金融商品の中でも貴金属は断トツでした。米株、日本株、暗号資産、それらと比べると圧倒的に貴金属は上がっており、年央からはそれをみた投資家がさらに資金を貴金属につぎ込んだのです。これはまさにバブルと呼んでいいでしょう。 今年2026年1月後半には、貴金属4品すべてが歴史的高値をつけて、そして、バブルははじけました。ゴールドは1月の5600ドル直前から7月の4000ドルまで下落。この文章を書いている10月初旬現在は4100ドルから4200ドルの間での動きとなっています。

(過去2年のゴールドの動き)

さてここから本題。これだけの乱高下と言っていい動きをしているゴールドです。いつ買えばいいか、迷って当然です。まず、投資とは何ぞやということから始めましょう。

少し乱暴な言い方ですが、投資には二種類あります。

「長期的投資=ポートフォリオ・マネージメント」

筆者が個人投資家として行っている投資はほぼすべてが長期的投資です。短期的投資は株でもゴールドでも買うときに、おそらく売ることを考えます。しかし長期投資家は全く売ることを考えません。筆者は個人投資家として、リーマンショック後2010年くらいからゴールドに投資を始めました。それまでは、上記のようにプロとしてすでに何十年もゴールドトレーディングをしていましたが、筆者が最前線でやっていたころはゴールドは右肩下がりのマーケットであり、個人としてゴールドに投資をするという考えは全くありませんでした。それが変わったのがリーマンショックでした。それまで欧州の中央銀行がゴールドの売り手でしたが、リーマンショックを境に彼らもゴールドを売ることをやめました。筆者も同じく、ゴールドの資産としての価値を見直し、そこから積極的にゴールドを買い始めました。ゴールドの投資を開始した最大の理由はフィアットマネーの価値減退です。ゴールドの値上がりを期待して投資を始めたわけではありませんでした。ポートフォリオにハードアセットを組み込みたかったからです。なので価格はほとんど関係ありませんでした。買ったあとはほとんど値動きは気にしていませんでした。まさにbuy and forgetです。それから20年近くたちました。この間に現物、積立、そしてETFや投資信託をいう形でゴールド及び他の貴金属への投資は続けています。長期投資家として、まだ一度も売却はしていません。ですから長期投資家として言わせてもらうならば、「いつ始めるべきなのか?」という質問に対しては「今でしょ。」なんです。何十年もずっと投資を続けていれば短期的な上げ下げはほとんど関係ありません。一日でも早く始めるほうが遥に大切です。毎月積立投資を続ければ下がったら買いのコストは安くなるので、相場が下がることを祈るようになります。変な話に聞こえるかもしれませんが。続ければ続けるほどそのコストは平準化されていきます。ポートフォリオにハードアセットを入れるという目的をはっきりとするならば、目の前の上げや下げは気にする必要は全くありません。筆者はゴールド及び貴金属への投資を始めてからまだ一度も売ったことはありません。基本的に下がったら買い増す。上昇しているときは積立にすべてを任せる、というスタンスです。ポートフォリオの中に20%くらいはハードアセットを持ちたいと考えているので、それが達成されるまではこのスタンスを続けるつもりです。やってみればわかりますが、20%ってそんなに簡単ではありません。し20年前にゴールドを買っていれば、現在834%上がっています。米株(S&P500)の480%、日本株(日経平均)の320%を大きく上回っています。ただしそれは途中で売ったりせずにずっと保有していた場合です。長期投資家のもっとも難しいのは、いかに損切りや利食いの誘惑に負けないかということです。ここでさきほどの「buy and forget」の意味が出てきます。買ったことを忘れるくらいが一番いいのです。

(過去20年の米株、日本株と貴金属のパフォーマンス)

(米国の通貨供給量とゴールド価格の推移)

1971年のドル金本位制の停止以来55年、ドルに対するゴールドの価値は一時160倍まで上昇しました。(現在127倍)これはゴールドの価値が上がっているというより、ドルつまり通貨の価値が下がっているということです。この流れは、ゴールドとの関係が絶たれたいわゆる「フィアットマネー」が現在の資本主義の根底である限り続きます。つまり通貨の量は増え続け、刷ることができないゴールドの価値はそれに対して上がる、筆者はこれは必然だと考えています。だとすれば、筆者が薦めるゴールドの投資法は、短期的動きに惑わされずに、buy and forgetでの長期保有、できれば天引きの形での積立がベストだと思います。そしてそれを始めるには、今年1月の5600ドルという歴史的高値から4000ドル近くにまで調整している現在は絶好の機会ではないでしょうか。

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