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いしふくコラム

【池水雄一氏】金銀比価の歴史

  • #貴金属投資の基礎知識
  • #資産運用

2025年03月12日

いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。

今回は、貴金属スペシャリストの池水雄一氏にコラム「金銀比価の歴史」を執筆いただきました。

金銀比価の歴史

執筆日:2025/03/04

金銀比価とは?

金銀比価という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ゴールドとシルバーの価格の割合、もう少しわかりやすく表現すると、ゴールド1単位(オンスでもグラムでも)を買うために、何単位のシルバーが必要か、ということです。たとえば、この原稿を書いている2月末現在でのゴールドの円建て価格は1グラム13850円でシルバーは151円です。1グラムのゴールドと同等のシルバーは13850÷151=91.72グラムとなります。このとき、金銀比価は1対91.72ということです。つまりゴールドの価値はシルバーのほぼ92倍あるということになります。

ゴールドとシルバーは昔から通貨として使われたという歴史があり、実際の交換が行われていたのでその関係は昔からの記録が残っています。現在のゴールドとシルバーの関係は上記の例でもわかるとおり90対1を上回るゴールドがとても高く、シルバーがとても安いという状況にあります。おそらく皆さんもまさかそれほどシルバーが安いと認識している人は少ないのではないかと思います。

ゴールドやシルバーのマーケットに興味がない一般の人々にこのゴールドとシルバーの価値がどれくらいだという質問するとほとんどの人はおそらく10対1くらいだと答えるのではないでしょうか。その感覚は歴史的に人間に刻まれたものと考えると正当性があるかもしれません。というのも現在のゴールドの90分1というシルバーの価値は歴史的にみると異常に安いものと言えるからです。歴史を遡ってみましょう。

金銀比価の歴史

古代、ゴールドは砂金のような「自然金」が見つかり、人類の歴史の比較的早い時期から我々と一緒にあったと想像されます。ところがシルバーは「自然銀」は非常に希であり、おそらくごく初期においてはゴールドよりもシルバーの方が価値が高かったのではないかと思われています。

しかし古代にはすでにその価値は逆転し、その価値関係は2対1から5対1くらいであり、それがギリシャローマ時代には10対1、中世ヨーロッパで15対1とシルバーの生産が増えるのともにゴールドに対する価値は低下していきました。16世紀以降の欧米では16対1がその標準となりましたが、同じ時期の日本では5対1であったため、幕末には南蛮船がシルバーを南米やインドから日本に持ち込み、それを5対1でゴールドに交換し、欧州に持ち帰り16対1でシルバーに交換するという「裁定取引」が大々的に行われ、ジパングとまで呼ばれた日本から大量にゴールドが流出したのでした。

1971年、ニクソンショックにより、ドル・ゴールド本位制が終わったあとの金銀比価は30対1から40対1となりましたが、その後1980年にハント兄弟の買い占めで一時的に金銀比価は16対1まで縮小しましたが、その後はどんどんその差は拡大、現在の90対1までに至っています。こうやって歴史的にみても、現在の金銀比価はにゴールドが異常に高く、シルバーは安い状態にあります。

基本的にゴールドとシルバーは同じ方向に動きます。だとすればゴールドがどんどん上昇する今、割安に捨て置かれているシルバーを買うのは賢いチョイスであると思います。過去50年の平均が50~60対1です。90対1から70~80対1まで戻す可能性は大きいと思います。まさにシルバー投資のチャンスではないでしょうか。

金銀比価の歴史 金銀比価レンジ
古代 2対1 5対1
ギリシャ・ローマ時代 10対1 12対1
中世ヨーロッパ 12対1 15対1
16世紀から18世紀 15対1 16対1
1792 US Standard 15対1  
1873 Silver 非通貨化 30対1  
1930年台 50対1  
1970年台(金本位制終了) 30対1 40対1
1980年(ハント兄弟買占め) 16対1  
2000年台 60対1 80対1
2020年(コロナクラッシュ) 123対1  
2025年 92対1  
金銀比価の動きとドル建てシルバー価格
(金銀比価の動きとドル建てシルバー価格:50年)
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