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いしふくコラム

【志田富雄氏】中央銀行も悩む金の保管場所

  • #資産運用

2025年04月02日

いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。

今回は、経済コラムニスト志田富雄氏にコラム「中央銀行も悩む金の保管場所」を執筆いただきました。

中央銀行も悩む金の保管場所

執筆日:2025/03/30

ドイツ連銀の金移送作戦

昨年から金融機関の貸金庫に預けていた金品が盗まれる事件が次々と明るみに出ました。自宅に置いても空き巣や強盗のリスクが高まっているし、金地金や金貨はどこに保管したらいいのか、迷う投資家は多いでしょう。実は、こうした悩みは中央銀行も例外ではありません。

10年以上も前の話になります。ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行(通称ブンデスバンク)は2013年初め、国外に保管していた金のうち674トンを2020年末までにフランクフルトにあるドイツ連銀の金庫に移すという大掛かりな移動作戦を発表しました。

ドイツ連邦銀行の2017年8月公表資料から
出所)ドイツ連邦銀行の2017年8月公表資料から
   左からドイツ連銀金庫(フランクフルト)、ニューヨーク連銀金庫(ニューヨーク)、イングランド銀行金庫(ロンドン)

国民の財産である金に高い関心

金の国際的な調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC、本部ロンドン)が集計する公的な金の保有量でもドイツは3351.5トンと米国(8133.5トン)に次いで世界第2位の多さです。ただ、東西ドイツが統一されるまで、旧西ドイツが保有していた金の多くは国外に保管されていました。冷戦構造の中で旧ソ連軍が西ドイツに侵攻し、金を奪われるリスクがあったからです。

冷戦構造が解消すると、ドイツ国民の間で疑問の声が湧き起こったのです。私たちの大切な財産である金を国外に置いたままでいいのか、と。米国などに保管している金は本当に存在しているのかという疑念も出てきました。ドイツ国民は第一次世界大戦の後に通貨暴落(ハイパーインフレ)を経験し、金という財産の価値をよく知っています。政府も世論に押され、金の保管場所を再考したのです。まず、英国の中央銀行であるイングランド銀行にあった930トンをドイツ国内に移動。13年に発表した作戦は第2弾になります。

ドイツ連銀の発表で、第2弾の移送作戦は当初予定よりも早い2017年に完了しました。移送後の保管割合はドイツ連銀金庫が50.6%、米国のニューヨーク連邦準備銀行金庫が36.6%、イングランド銀行金庫が12.8%、フランス銀行(パリ)での保管はゼロとなりました。国内での保管比率は24年12月末でも51%とほとんど変化していません。国内に移送した金地金はドイツ連銀の担当者が徹底的に監査し、偽物でないことはもちろん、純度、重量についても「不正は発見されなかった」としています。上に掲載した写真は、ドイツの保有金がそれぞれどのように保管されているかを示しています。ここまで厳格に行動し、国民に適時公表するのはドイツ人気質ゆえかもしれません。

ドイツ連銀ホームページから
ドイツ連銀は直近の金保管状況も厳格に公表(同行のホームページから)

ニューヨーク連銀の保管量はピークの半分に

長い間、金の保管場所を公表していなかった日銀もようやく「大半はニューヨーク連銀に預けてある」と認めました(20年8月の日本経済新聞)。ニューヨーク連銀が保管している金については先週、このコラムで松本さんも触れられていました。ここの金庫は地下80フィート(約24メートル)、マンハッタン島の堅固な岩盤上に設置されており、唯一の入り口は重量90トンの鋼鉄製シリンダーで保護されています。

同連銀は「最も多かったニクソン・ショック直後(1973年)にはこの金庫に1万2000トンを超す国内外政府、国際機関の金が保管されていた」と言います。24年時点では約50万7000本の金地金(6331トン)が保管されており、量は半分ほどに減りました。米国への不信感が強まっている世界情勢を踏まえると「米国には預けたくない」と考える国はさらに増えるかもしれません。

米国内には別な金の保管場所もあります。有名なのはケンタッキー州フォートノックスの陸軍施設にある保管庫です。ここは秘密のベールに包まれているだけに「金はなくなっている」「偽物の金が積まれている」といった噂話が絶えません。米トランプ政権はフォートノックスに本当に金があるのか確認調査に乗り出そうとしています。

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