【松本英毅氏】米独立250周年の記念式典は、猛暑と豪雨で大幅に遅れました
- #貴金属投資の基礎知識
- #金
2026年07月22日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、よそうかい代表 松本英毅氏にコラム「米独立250周年の記念式典は、猛暑と豪雨で大幅に遅れました」を執筆いただきました。

会員制米国市場情報サイト「よそうかい.com 」を運営。ニューヨークを拠点に活動し、実際のトレードに役立つ情報提供を身上とする。金融から商品市場まで幅広い知識を有しており、一つの銘柄に捉われることなく総合的な判断を下すことができるのが強み。中でも、1バレル=10ドル時代から追い続けてきた原油市場については造詣が深い。トレード経験を活かした切り口の鋭い分析に定評がある。
米独立250周年の記念式典は、猛暑と豪雨で大幅に遅れました
執筆日:2026/07/18
独立250周年の記念式典は、猛暑と豪雨によって予定が大幅に遅れました
7月と言えばやはり4日、米国の独立記念日ですね。今年は1776年に米国がイギリス連邦から独立してちょうど250年、各地で様々な記念式典が行われました。ところが首都ワシントンDCをはじめとした東海岸は6月末あたりから猛暑が続き、更に4日の記念日当日には激しい豪雨に見舞われるなど、大荒れの天候となりました。NYの雷雨はそれほどひどいものとはならず、恒例の花火大会が始まるころにはお天気も回復していたのですが、DCでは悪天候によって式典の開始が数時間遅れる事態となりました。
この日はマンハッタンのすぐ南側にある、ガバナーズ・アイランドというところに行ってきました。ダウンタウンから船で5分もあれば着いてしまう小さな島で、もともと軍の施設があったところをニューヨーク市が買い取り、娯楽施設として再開発させたという経緯があります。自由の女神像がすぐ近くに見えるので、独立記念日に訪れるのには最適ということもあり、毎年この日はここでのんびりと過ごすことにしています。今年は特別に帆船パレードが行われていたので、なかなか良い写真が撮れました。
もう一つ、前回のコラムで予告していた通り、ゲイ・プライド・パレードの様子も載せておきましょう。6月の最終日曜日に行われたこのパレード、今ではすっかりニューヨークの夏の風物詩となっています。しかし、ここまで派手でハチャメチャなパレードは、滅多に見られるものではありません。
米国とイランの停戦合意は、あっさりと反故にされてしまいました
さて本題の金相場ですが、7月に入ってからも上値の重い展開が続いています。背景にあるのはやはり、インフレ圧力の高まりを受けて、米国中央銀行であるFRBが金融政策方針を転換、利上げに転じるとの見方を受けた金利の上昇ということになるでしょう。6月には米国とイランが停戦合意を延長、戦争終結にむけた覚書に署名を行うという状況の大きな変化がありました。ホルムズ海峡の閉鎖が解除されたことから原油価格が急落、一旦はインフレに対する懸念も大きく後退したのですが、結局は7月に入ってから戦闘が再開、停戦合意も実質的に破棄される事態となり、市場では改めてインフレに対する懸念が高まりつつあります。
前月に指摘した通り、米国の攻撃によって国内は極端に疲弊しているイラン、ホルムズ海峡の閉鎖を受けたガソリン価格の高騰などによって国内で批判が高まり、中間選挙を前に危機感を強めているトランプ政権のどちらにも、戦争をこれ以上継続する理由はほとんど残っていませんが、だからといってお互いがすぐに戦争終結で合意を結ぶというわけではないでしょう。ホルムズ海峡の管理やイランの核開発に対して、双方の主張が大きく食い違っているという事実に変わりはなく、交渉が難航する中で小規模な戦闘の応酬が繰り広げられる可能性は十分に高いと思われます。ホルムズ海峡が再び閉鎖される中では原油価格も高止まりが続くおそれが高く、インフレ圧力も簡単には後退しないと見ておいたほうがよいでしょう。今月28日と29日の両日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で、早々と利上げが打ち出される可能性も十分に残っている状況下、金利の上昇に対する懸念はまだしばらく金相場の大きな重石となりそうです。
米景気の減速基調が強まるなら、金市場が真っ先に反応する
一方でこうしたインフレやFRBの利上げに対する懸念が、すでにかなりの長期間市場の大きな材料となってきていることも無視するべきではないでしょう。2月末に米国がイランに対する本格的な攻撃を開始して以降、金相場はインフレ懸念や米金利の上昇、それに伴うドル高の進行などを嫌気する形で、4ヶ月以上軟調な相場展開が続いています。両国の今の方針や態度を見る限り、こうした流れはまだかなりの期間弱気に作用するような感じではありますが、一方で一つの相場の流れが永遠に続くこともありません。終わりの見えないイラン戦争が、意外にあっさりと終わってしまうことも十分にあり得るでしょう。その鍵を握っているのは、やはり米軍の最高司令官であるトランプ大統領です。
私はこの戦争が終結するシナリオは、次の2つがあると考えています。一つは米軍が攻撃を一段と激化させ、イランに壊滅的な打撃を与えることによって米国有利な合意が結ばれるというものです。このシナリオはリスクが非常に高く、イラン側の抵抗が思った以上に激しいものとなれば、双方ともにかなりのダメージを受けるような悲惨な結末を迎えることがあっても不思議ではないと見ておいたほうがよいでしょう。もう一つは、戦争継続に対する米国内の批判が一段と高まり、11月の中間選挙に向けて苦境に立たされたトランプ大統領がイランとの戦争に興味を失い、あっさりと手を引いてしまうパターンです。彼のこれまでの行動を見るかぎり、この可能性は意外に高いのではないかと考えています。
どのような結末を迎えるにせよ、戦争が終結すればホルムズ海峡の通航も安定を取り戻し、原油相場も大きく値を下げることになるでしょう。そこにこれまでのインフレや金利の上昇の影響が出てくる形で米景気の減速がいよいよ本格的にみられるようになってくれば、FRBは再び方針を転換し積極的に利下げを進めるようになる可能性が高いと思われます。このような形で経済状況に大きな変化が見られれば、相場の流れも劇的に変化することになります。その際に真っ先に流れが変わるのは、インフレや金利の上昇を他の市場よりも先取りする形でこれまで大きく値を下げてきた金相場となる可能性は、かなり高いと見ておいてよいのではないでしょうか。




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