[an error occurred while processing this directive]
いしふくコラム

【松本英毅氏】NYで中世ヨーロッパの宝飾品を楽しもう! – その2

  • #貴金属投資の基礎知識

2025年10月22日

いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。

今回は、よそうかい代表 松本英毅氏にコラム「NYで中世ヨーロッパの宝飾品を楽しもう! – その2」を執筆いただきました。

NYで中世ヨーロッパの宝飾品を楽しもう! – その2

執筆日:2025/10/18

メトロポリタン美術館の本館でも、中世ヨーロッパの金装飾品の展示が楽しめます

8月のコラムでは、中世ヨーロッパの金装飾品の展示を楽しむ場所として、マンハッタンの北端にあるクロイスターズ美術館を紹介しました。ここは有名なメトロポリタン美術館の分館なのですが、もちろん本館にも素晴らしい金装飾品の展示があります。今回はこちらのほうを紹介したいと思います。メトロポリタン美術館はマンハッタンのアッパーイーストサイド、5番街の81丁目から85丁目にかけてのセントラルパーク内あります。中はあまりにも広く、全てを細かく見て回るのには数日を要すると思います。実をいうと私も、全てを見て回ったわけでは決してありません。時間が限られる中では、様々なセクションに分かれているので、自分の好きなセクションを3つ4つ、集中的に見て回るのがよいでしょう。中世の宝飾品が見たいなら、1回の正面玄関から入って、大階段の横を通り抜けてまっすぐ奥に、中世の展示品のセクションがあります。その右奥のほうに、宝飾品が多く展示されています。印象派の絵画が展示されている2階や、エジプト文明のセクションなどに比べると人もすくないので、比較的ゆっくりと見ることができるでしょう。

中世ヨーロッパでも、金は富と権力の象徴でした

ここにくると、まずその豪華さというか、贅沢の極みを尽くした展示品にまず圧倒されてしまいます。宝飾品といっても、アクセサリーにとどまらず、食器類や調度品、比較的大きなオブジェに至るまで、ありとあらゆるものに金がふんだんに使われています。今では考えられないほどに貧富の差が激しかった、中世ならではという部分は大きいと思います。社会的にはよいことだとは思いませんが、やはりこうした富の集中は、芸術を発展させるのには必要悪ということなのでしょうね。そしていつの時代でも、世界中のどの地域でもそうなのですが、金は常に富と権力の象徴として、貴族や権力者、富裕層に愛される存在だったのです。

また銀の宝飾品も、多く展示されています。前回9月にユダヤ人街の宝飾品店を紹介した時にも書きましたが、ユダヤ人は金よりも銀を好む傾向が強いですし、中世のヨーロッパでも銀の社会的地位は今よりもかなり高かったように思われます。英語では裕福は家庭に生まれ、育ちのいい人のことを、あの人は銀のスプーンを加えて生まれてきたと表現することがありますが、今でも欧州では銀製品に対する人気には根強いものがあるようです。

貧富の差の拡大は、金に対する需要を強める?

足元では金価格の上昇がとどまるところを知らず、ドル建ての金は1トロイオンス4,000ドルを突破するまでに至っています。もちろん、投資商品としての金に対する需要がずば抜けているわけですが、これだけの価格上昇にも関わらず、装飾品に対する需要も比較的堅調さを維持していると見てよいでしょう・。背景にあるのは、やはり富裕層の需要です。米国では関税などのトランプ政権打ち出す政策の影響などもあって景気減速に対する懸念が強まる一方となっており、最近は雇用の鈍化も顕著になってきています。そうした中で一般消費者の需要は急速に鈍化してきているのですが、一方で富裕層の需要は依然として旺盛で、全体でみれば個人消費は好調さを維持しています。株式市場が史上最高値の更新を続けるのに伴って保有資産が大幅に増加、いわゆる資産効果によって富裕層の消費意欲は衰えることがありません。中世ほどではありませんが、貧富の差が激しくなっているのは間違いなく、金に対する投資ブームもこういうところが背景にあるようです。やはり経済が活発でお金が循環しているというのは、重要なことなのですね。

メトロポリタン美術館の金装飾品の数々 1
メトロポリタン美術館の金装飾品の数々 2
メトロポリタン美術館の金装飾品の数々 3
メトロポリタン美術館の金装飾品の数々 4
銀の展示も、多くあります 1
銀の展示も、多くあります 2
金・銀・プラチナのご購入は石福金属興業ネットショップで
石福金属興業ネットショップ
画像をクリックすると石福金属興業ネットショップへ遷移します
本コラムをお読みいただくにあたって
  • 本コラムは貴金属に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本コラム掲載の文章は、全て執筆者の個人的見解であり、当社の見解を示すものではありません。また、文章の著作権は執筆者に帰属しており、目的を問わず、無断複製・転載を禁じます。
  • 本コラムの情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、当社は一切責任を負いません。実際の投資などにあたってはお客様ご自身の判断にて行ってください。
  • 掲載内容に関するご質問には一切お答えできませんので、あらかじめご了承ください。