【小菅努氏】純金積立のすすめ【前編】 ~過去最高値更新を更新するタイミングでの金投資の始め方~
- #貴金属投資の基礎知識
2025年10月15日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、マーケットエッジ代表 小菅努氏にコラム「純金積立のすすめ【前編】 ~過去最高値更新を更新するタイミングでの金投資の始め方~」を執筆いただきました。

1976年千葉県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティ・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表に就任。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けのレポート配信業務、各種レポート/コラム執筆、講演などを行う。
純金積立のすすめ【前編】 ~過去最高値更新を更新するタイミングでの金投資の始め方~
執筆日:2025/10/13
過去最高値を更新するタイミングでの金投資の始め方
2025年9月29日、金の小売価格は歴史上初めて、1グラム=2万円の大台に乗せました。金価格の過去最高値更新はメディアでも大きく取り上げられ、金投資未経験の人々にも金に対する関心が高まった影響でしょうか、国内貴金属商では地金(特に小口商品)の供給が追い付かず、販売を一時停止する事例も見られるなど、若干の混乱も生じています。
金価格が連日のように過去最高値を更新する中で、どのタイミングで金を購入すればよいかは専門家でも回答に迷う状況ですが、リスクを抑えながら、5年・10年・20年といった中長期を想定して金投資を始めたい場合、「純金積立」は金投資の第一歩として有力な選択肢になります。

投資タイミングを考えなくても良い金投資
金投資で難しいのは、どのタイミングで金を購入するのかですが、純金積立ではその投資判断が不要です。毎月決まったタイミングで、決まった金額の金を購入する積立投資になります。例えば、「石福プラチナ&純金積立」の場合、「翌月1日から翌月末日までの間の当社営業日に積立購入を行います」と定められています。積立金額が毎月3万円、その月の営業日が20日の場合、全ての営業日に1,500円(=3万円÷20営業日)分を購入することになります。
この純金積立のポイントは、「同じ量の金」ではなく「同じ金額の金」を買い続けることにあります。各営業日ごとの購入金額が一定なので、金価格の安い日には多く、金価格の高い日には少なく購入することになり、価格変動のリスクを抑制することが可能になります。これを「ドル・コスト平均法」と言います。
例えば、1営業日に1,500円ずつ購入する場合、金価格が1グラム=2万円であれば約0.075グラム、1グラム=2万5,000円であれば約0.060グラムを購入することになります。金価格が安いときにより多く、高いときに少なく買うことで、平均購入価格を抑える効果が得られます。
純金積立の過去のパフォーマンス
過去のデータで純金積立のパフォーマンスを検証してみましょう。【表1】は金小売価格(月平均)と毎月3万円で購入できる金の量です。2000年代に入ってからは金価格の上昇が進んでいるため、徐々に購入できる金の量が少なくなっていることが確認できます。10年前の2015年10月は6.67グラム購入できましたが、2025年9月は1.72グラムに減少しています。近年は、金と円の交換レートが、金に有利(=円に不利)に展開されていることが確認できます。

次回の【後編】では、より詳細なパフォーマンスの検証、純金積立のリスク等を解説します。
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