【小菅努氏】国内外で異なる金の取引単位 ~トロイオンスとは?~
- #貴金属投資の基礎知識
2025年07月16日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、マーケットエッジ代表 小菅努氏にコラム「国内外で異なる金の取引単位 ~トロイオンスとは?~」を執筆いただきました。

1976年千葉県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティ・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表に就任。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けのレポート配信業務、各種レポート/コラム執筆、講演などを行う。
国内外で異なる金の取引単位 ~トロイオンスとは?~
執筆日:2025/07/14
金の国際取引単位は「トロイオンス」、ドル建て表記
金は世界各地で取引されていますが、国際的な取引単位は「トロイオンス(troy ounce)」です。貴金属や宝石の計量のみに使われる単位で、正確には「1トロイオンス=31.1034768グラム」となります。中世に商業都市として栄えたフランス北部のトロワ(Troyes)に由来すると言われており、貴金属取引の歴史の長さが、こうした特殊な単位が現在でも使われ続けていることからも確認できます。
金の国際指標価格であるロンドン現物取引、ニューヨーク先物取引でも、このトロイオンスを単位として使用します。例えば、「1トロイオンス=3,500ドル」といった形で表記します。これは1トロイオンスの金を、何ドルで取引しているかを示しています。一般的に、ロンドン現物市場では400オンスの地金が売買の大半を占め、ニューヨーク先物市場では100オンスとキログラム単位の地金が受け渡し可能とされています。
便宜上、単純に「オンス」と表記されることもありますが、正確には「オンス」と「トロイオンス」は異なる単位です。また、単位記号で「oz」や「ozt」を使うこともあります。

金貨の重さも1トロイオンスが標準
1トロイオンスをイメージするのは難しいかもしれませんが、一般投資家でも簡単に目にすることができるのが金貨です。「メイプルリーフ金貨」、「ウィーンハーモニー金貨」などが人気ですが、いずれも1トロイオンス(約31.1グラム)、1/2トロイオンス(約15.6グラム)、1/4トロイオンス(約7.8グラム)、1/10トロイオンス(約3.1グラム)といった単位で販売されています。
もっとも一般的なのが1トロイオンスの金貨ですが、もし手元にあれば改めて手にとってみると、1トロイオンスの重さを実感できます。初めて金貨を購入した際にも、いちど手の平にのせてみるとよいでしょう。現在発行されている500円硬貨は7.10グラムとなっているため、これと金貨の重さと比較してみても面白いかもしれません。

国内では円建て、グラム単位が一般的です
一方、日本国内では国際表記とは異なる単位が使用されています。取引単位は「グラム」で、例えば、「1グラム=1万5,000円」といった形で表記します。地金の小売価格・買取価格、大阪取引所の先物取引でも、1グラムの金を、何円で取引しているのかが示されています。国内で地金を購入すると、1キログラム、500グラム、100グラムといった単位になることが一般的です。
なお、「ドル建て金価格」と「円建て金価格」は取引単位と通貨が異なるため、両者を比較する際の計算式は下のようになります。(ドル建て金価格÷31.1)で取引単位をトロイオンスからグラムに換算し、そこにドル/円レートを掛けることで通貨をドル建てから円建てに変換できます。
「(ドル建て金価格÷31.1)×ドル/円レート=円建て金価格」
例えば、ドル建て金価格が1トロイオンス=3,500ドル、為替相場が1ドル=140円の場合だと、円建て金価格を求める際の計算式は「(3,500÷31.1)×140=1万5,754円」となり、1グラム=約1万5,754円となります。
実際には、ここに各種輸出入コストなども加わるため理論値通りの数値にはなりませんが、「ドル建て金価格があと500ドル上がったら?」、「1ドル=5円の円安になった場合は?」といったシミュレーションを行う場合には、このような計算式を使います。
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