【松本英毅氏】人種のるつぼ、ニューヨークならではのゴールドショッピング Part2
- #貴金属投資の基礎知識
2025年09月24日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、よそうかい代表 松本英毅氏にコラム「人種のるつぼ、ニューヨークならではのゴールドショッピング Part2」を執筆いただきました。

会員制米国市場情報サイト「よそうかい.com 」を運営。ニューヨークを拠点に活動し、実際のトレードに役立つ情報提供を身上とする。金融から商品市場まで幅広い知識を有しており、一つの銘柄に捉われることなく総合的な判断を下すことができるのが強み。中でも、1バレル=10ドル時代から追い続けてきた原油市場については造詣が深い。トレード経験を活かした切り口の鋭い分析に定評がある。
人種のるつぼ、ニューヨークならではのゴールドショッピング Part2
執筆日:2025/09/18
伝統的なユダヤ人は、金よりも銀の宝飾品を好むようです
人種のるつぼと呼ばれるニューヨークならではのゴールドショッピング、今回は第二弾です。前回4月には観光地としても比較的有名な地区を紹介しましたが、今回はかなりマニアックです。観光でニューヨークに来ても、おそらくは訪れることのないところでも、金の宝飾品が売られているのです。
ではまず、ユダヤ人の街に行ってみることにしましょう。4月に紹介したのはミッドタウンのダイヤモンド街でしたが、今回はブルックリン、バラ・パーク(Borough Park)と呼ばれる地区です。ここにはオーソドックスと呼ばれる、伝統的で敬虔なユダヤ教の信者が多く住んでいます。黒い帽子をかぶって、夏でも黒い厚手の上着を着ている、あの人たちです。私の住んでいるところから歩いていける距離にあるのですが、あまりにも雰囲気が違い過ぎるので、あまり来ることはありません。来るとすれば、鶏肉を買う時くらいですね。コーシャーと呼ばれる、お祈りをして独特の方法で処理をした鶏肉は、他のところで買う物よりも美味しいのです。
そういう独特な雰囲気のある街ですが、今回は思い切って訪れて、しかも写真まで撮ってきました。意外だったのは、実はここの宝飾店にはダイヤモンドも金もほとんど置いておらず、銀が中心でした。ヨーロッパでも銀は根強い人気がありますが、この街の宝飾店での取り扱いを見る限り、銀が絶大な人気と信頼を得ていることが分かります。長年ニューヨークに住んでいても、まだまだ分かっていないことは多いようです。


イスラムの人にとって、金は富や権力の象徴
同じブルックリンでも、ベイ・リッジという街には、アラブ、イスラム系の人が多く住んでいます。前回にも少し触れましたが、アラブの人々にとっても金は富や権力の象徴として、あるいはイスラム教における重要なアイテムとして尊重されてきました。この辺りの宝飾品店は、インド人街と同じくウィンドウ・ディスプレイも華やかで、見ているだけでも気持ちが高揚してきます。写真にも少し写っていますが、イスラムの街だけに、ヒジャブをつけた女性も当たり前のように見かけます。また周りにはハラル・フードのスーパーマーケットも多くあり、コーシャーと同じく手間暇を変えているせいか、品質が高く、美味しいものが多いような気がします。
ただし、美味しいものが多いと言っても、外食するのには注意が必要でしょう、敬虔なイスラム教の信者にとって、アルコールはご法度、イスラム系のレストランに入ってもアルコールは一切置いていませんし、外からワインなどを持ち込んで飲むことも許してもらえません。郷に入れば、郷に従えですね。


お隣のニュージャージー州でも、金は売っていました
最後に、マンハッタンから西、ハドソン川を渡ったところにあるニュージャージー州のニューアークという街にも行ってきました。ニューアークという名は、ニューヨーク近郊の3大空港の一つ、ニューアーク・リバティー国際空港でご存じの方もいると思いますが、ワールドトレードセンターからなら電車で30分ほどで着きます。実はニューアークという街は、治安が悪いことで有名なので、観光客の人が一人で行くことはあまりお勧めしませんが、ここにはポルトガル系の移民が多く住んでいる地区があるのです。特に宝飾品店を探しに行ったわけではなく、ポルトガル料理を食べてみたいということで訪れたのですが、商店街を歩いていたら何件か金を売っているお店もありました。
欧州の人々にとっても、もちろん金は重要な資産の保有手段の一つです。15世紀から16世紀にかけての大航海時代、栄華を極めていたポルトガルが栄えていた頃には、さぞ多くの金が集まってきたことでしょう。また17世紀に、当時ポルトガル領だったブラジルで金鉱山が発見されたこともあって、ポルトガルは今でも世界第16位の金保有国です。名物のエッグタルトをほおばりながら、ポルトガルの過去の栄光に思いを馳せる午後となりました。


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