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いしふくコラム

【池水雄一氏】シルバーの鉱山生産が増えない理由

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2026年01月14日

いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。

今回は、貴金属スペシャリストの池水雄一氏にコラム「シルバーの鉱山生産が増えない理由」を執筆いただきました。

シルバーの鉱山生産が増えない理由

執筆日:2026/01/13

続くシルバーの上昇

先月12月9日の筆者のコラムは「大きく上昇したシルバーの背景と今後」というものでした。その中でシルバーが上がってきた背景を詳しく解説し(忘れていたらぜひ読み返してください。笑)、「シルバーはいつ何時また爆発するかもしれません。」と書きました。そのときのシルバーは57ドル近辺。あれからちょうど一ヶ月が過ぎて、シルバーは年末になんと83.62ドルまで上昇、まさに爆発と言っていい上がり方をしました。57ドルは歴史的高値でありましたが、たった一ヶ月足らずでそれが、83ドルまで更新されたと言うことです。現在は70ドルから83ドルという大きなレンジで、一日に平気で数ドル動くような神経質なマーケットが続いています。

(過去一ヶ月のドル建てシルバー)

シルバーの生産事情

これだけ価格があがるとふつう、鉱山会社は全力で生産を増やしていくというのがごく自然な考え方でしょう。Silver Instituteの「World Silver Survey 2025」によると、2024年の世界の「銀鉱山」の生産コスト平均は14.58ドル。現在70ドルを超えていることを考えると銀鉱山会社は大きな利益を得ていることになります。いくらでも掘って売ればより大きな利益が得られるはずですが、実際はそういうことにはなりません。

(銀鉱山生産コスト:World Silver Survey 2025)

鉱山会社はなるべく長く鉱山の寿命を維持することに重きを置きます。これはシルバーに限らずゴールド鉱山やプラチナ鉱山でも同様です。シルバーの価格が上がれば、鉱山会社はまず、それまではコストの関係で掘ることが経済的に合わなかった「銀含有量の薄い」鉱脈を掘ります。それにより鉱山全体の寿命を延ばすという方針のために、シルバーの価格が上がっても生産を増やす、ということにはならないのです。これはゴールドも同様です。含有率の高い有望な鉱脈は、相場が下がった時のためになるべく温存しておきます。

しかしシルバーの鉱山生産に関してはこれよりも大事なポイントがあります。というのもシルバーの鉱山生産で、実際「シルバー鉱山」からの生産は28%なのです。残りは銅鉱山から28%、鉛亜鉛鉱山から23%、金鉱山から22%といった具合に、他の鉱山から「副産物」として生産されているのです。

そもそも鉱山の名前はその鉱山の50%以上の収益を上げているメタルの名前となります。たとえば銅鉱山は銅が利益のメインであり、金鉱山はゴールドがそれになります。あくまでのそれらの鉱山の目的はそれぞれゴールドやカパーであり、シルバーはあくまで副産物、つまり「おまけ」なのです。そのため、副産物の生産を増やしたり、減らしたりすることは基本的にできません。だとすればシルバーの全生産の約70%が全くコントロールできない、ということになります。そのため、どれだけシルバーの価格が上がっても、生産を劇的に増やすことはそもそも不可能なのです。

過去の統計を見ていると、シルバーの生産は毎年大きな変化はなく、過去10年ほぼ26,000トン前後です。安定はしています。しかし一方需要は過去10年で30,000トンから大きく伸びている36,000トンとなっており、供給不足はもはや連続6年となりました。昨年10月にはLoco London account のシルバー在庫が枯渇、現在もシルバーの金利であるリースレートはゴールドのそれがほぼゼロであるのに対して一ヶ月もので4~8%の金利が続いています。つまり、現物がタイトであるということです。ゴールドと違って、産業用の需要がシルバー需要の半分を締めます。シルバーが前代未聞に上昇している裏側には前代未聞の需給の逼迫があるのです。それが簡単に解決できる道は見つかりません。逆に悪化していく可能性のほうがはるかに高いのです。だとすれば長期的にはシルバーの価格は上昇するしかないということになり、まさにそれが現在起こっていることです。

(シルバー過去10年の需給)
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