【小菅努氏】金と銀のどちらを選ぶ? ファンダメンタルズからみた金投資と銀投資の違い
- #貴金属投資の基礎知識
2026年02月18日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、マーケットエッジ代表 小菅努氏にコラム「金と銀のどちらを選ぶ? ファンダメンタルズからみた金投資と銀投資の違い」を執筆いただきました。

1976年千葉県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティ・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表に就任。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けのレポート配信業務、各種レポート/コラム執筆、講演などを行う。
金と銀のどちらを選ぶ? ファンダメンタルズからみた金投資と銀投資の違い
執筆日:2026/02/17
金・銀投資の比較、単純に銀は割安というメリット
金と銀はともに貴金属として投資対象になっていますが、個人投資家が金と銀に投資する際には、どのような点に注目すればよいのか、確認しましょう。
まず、金と銀は価格が大きく異なります。国内小売価格は2026年2月17日時点(石福金属興業発表、以下同じ)で金が1グラム=2万7,082円に対して銀が418.880円となっています。同じ1グラムで比較すると、金は銀の64.7倍の価値があります。このため、銀は「Poor man’s Gold(貧者の金)」と呼ばれることもあります。銀は金に比較して安価でありながらも、貴金属としての価値や輝きを持っているため、一般投資家でも購入しやすい投資対象として知られています。
このため、貴金属に投資したいが、金は投資するには高過ぎると感じる投資家にとっては、金の代替品として銀を購入するという選択肢があります。以前は、一般投資家が銀地金や銀貨を購入するのは困難でしたが、近年は銀投資人気の高まりもあって、比較的容易に購入できるようになりました。地金(1㎏)を手元に持っておきたいという人にとっても、金だと2,708万2,000円に対して、銀なら42万8,780円で購入できます。

需給ファンダメンタルズの違いがもたらす価格変動の違い
一方、銀は金と比較して値動きが大きくなりやすい点には注意が必要です。例えば、2025年は金・銀価格ともに過去最高値を更新しましたが、年間のドル建て現物相場の上昇率は金の64.4%に対して、銀は146.8%に達しています。2000年以降(2000~2025年)では、金と銀がともに上昇したのは16年ですが、そのうちの10年は金よりも銀価格の方が大きく上昇しています。
市場規模の違いといった技術的要因もありますが、ここでは金と銀の需給ファンダメンタルズ違いから整理してみましょう。「貴金属」として金と銀は同一視されることもありますが、需給構造は大きく異なっています。
2025年の金需要(WGC調べ)は5,002.3トンに達しましたが、内訳としては宝飾が32.7%、工業が6.5%、投資が43.5%、公的部門が17.3%となっています。投資が4割強を占めていますが、銀と異なるのは機関投資家のポートフォリオにおけるリスク分散ニーズが存在することです。これらの投資家にとっては、金価格の値動きは最優先ではなく、あくまでもポートフォリオ全体の安定性が重視されます。このため、金価格の上昇・下落によって、投資需要の規模が急変するリスクが限定されます。
銀の投資需要は総需要の17.8%に過ぎませんが(Metals Focus調べ)、ここにはほとんどヘッジニーズは含まれていないと考えられています。このため、価格上昇局面では投資需要が増加して銀価格の値上がりが加速する一方、価格下落局面では投資需要が減少して銀価格の値下がりが加速する傾向にあります。
また、中央銀行など公的部門の需要の有無も、金と銀との違いになります。各国中央銀行は外貨準備の運用で金も保有していますが、一般的に銀はそのような目的では保有されていません。こうした公的部門の需要も、金価格動向を最重要視していないため、金需給に対する価格ショックを限定する傾向にあります。
金と銀のどちらを投資対象とすべきかは、投資金額や投資スタイルなどによって異なりますが、一般的な傾向として金よりも銀価格は大きく変動しやすいことは認識しておいた方が良いでしょう。2025年のような強気相場では金価格を大きく上回るパフォーマンスになることも珍しくはありませんが、逆に世界同時金融危機の発生した2008年は金の5.4%上昇に対して、銀は23.5%下落と逆行安になりました。
スローガン風に評価すると、銀は金と比較して、「攻撃力が強めな一方、守備力が弱めの貴金属」と捉えると、金と銀のどちらに投資の主軸を置くべきかの目安になります。

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