【池水雄一氏】World Silver Survey 2026
- #貴金属投資の基礎知識
- #銀
2026年05月13日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、貴金属スペシャリストの池水雄一氏にコラム「World Silver Survey 2026」を執筆いただきました。

一般社団法人日本貴金属マーケット協会 代表理事、貴金属スペシャリスト 1962年生まれ兵庫県出身。1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社入社、その後1990年クレディ・スイス銀行、1992年より三井物産株式会社で貴金属チームリーダーを務める。2006年よりスタンダードバンク東京支店副支店長、2009年に同東京支店で支店長に就任。2019年9月より日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表理事に就任。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界各国のブリオン(貴金属)ディーラーでブルース(池水氏のディーラー名)の名を知らない人はいない。
World Silver Survey 2026
執筆日:2026/05/12
シルバーの供給不足は続く
Metals Focusが発表する貴金属の需給統計の今年の第一弾として「World Silver Survey 2026」が4月15日に発表となりました。

続く供給不足

2025年の鉱山生産は前年比3%の増加で26331トン。過去の流れからは大きな変化はなく、鉱山生産は一定で安定しています。スクラップの回収を含めて需要全体では33915トン。一方需要は全体では2%減少して35166トン。需要が減少するのはパンデミック以来初めてです。その結果供給不足はETFでの買いを除くと1251トンと大きく減少しました。これは5年連続の供給不足となり、ETFによって買われており、ETFに紐付けられているメタルを合わせると2019年から7年連続の供給不足となりました。
4月には関税騒ぎにより、CMEシルバー先物が急騰し、ロンドンからCME倉庫へと現物が移送され、ETFと現物への投資家の買いも大きく集中し、シルバーの現物供給を遥に超える需要により、現物が足りなくなり価格が上昇する「スクイーズ」が起こりました。10月にはシルバーの金利であるリースレートが一ヶ月物で一時40%まで急騰する事態にまで至りました。しかしその後は、シルバーには関税がかからないという了解が進み、上がり過ぎたリースレートに対して、リース取引対象となるロコ・ロンドン・アカウントへ、ニューヨークからの逆送が続き、現在リースレートはふたたびほぼゼロに戻しています。しかし、現物がタイトな状況はこの需給統計を見る限り変わっていません。流動性の根本である「地上在庫」は過去のシルバーとは段違いに少なくなり、価格の動きは我々がこれまでみてきたマーケットとは別物と言ってよいような動きになっています。
この供給不足が原因の流動性減少が、ボラティリティの高い状況を今後のシルバー・マーケットの常態として定着させると筆者は考えます。上にも下にも価格が大きく動きやすいマーケットが続くでしょう。

シルバーの生産国ランキング2025

シルバーの最大の生産国はメキシコで5378トン。上位三カ国であるメキシコ、ペルー、中国で世界の生産量の約半分を占めます。
現物投資需要の動き

投資需要は前年比13%の増加。特にインド、オーストラリア、中国の増加が目立ちます。米国では大きく減少となりましたが、その他の地域の増加がそれを十分にカバーする結果となっています。特に中国での現物投資は前年の倍以上となり注目されます。
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