【小菅努氏】AI銘柄にもなった銀、太陽光発電のみでは語れない時代へ
- #貴金属投資の基礎知識
- #銀
2026年05月20日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、マーケットエッジ代表 小菅努氏にコラム「AI銘柄にもなった銀、太陽光発電のみでは語れない時代へ」を執筆いただきました。

1976年千葉県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティ・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表に就任。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けのレポート配信業務、各種レポート/コラム執筆、講演などを行う。
AI銘柄にもなった銀、太陽光発電のみでは語れない時代へ
執筆日:2026/05/19
太陽光発電のみでは語れなくなった銀相場
太陽光発電(PV)のみで銀相場を見る時代は終わりつつあります。ここ数年の銀の産業用需要をけん引してきたのは、明らかに太陽光パネル用の需要でした。「World Silver Survey 2026」によると、太陽光パネル用の銀需要は2022年に初めて1億オンスを上回り、24年には過去最大となる1億9,750万オンスに達しました。しかし、25年は1億8,660万オンスまで落ち込み、26年はさらに1憶5,100万オンスまで2年連続で減少する見通しです。わずか2年で24%の減少となる計算です。
近年の銀価格の高騰でPV業界は前例のないコスト上昇に直面しました。このため、「技術開発」と「代替金属」によって、銀の使用量を削減するための取り組みが加速しています。依然として銀はPV業界において必要不可欠な素材ですが、従来のように太陽光パネル生産が拡大すれば、銀需要も拡大するといった単純な時代は終わりを迎えつつあります。

AI、EV、電力も新たな銀需要の主役に
一方で、これは銀の産業用需要の終わりを意味しません。むしろ、PV業界という単一の成長分野に依存した需要構造が、より広範なデジタル化・電化投資に移行し始めた局面とみるべきでしょう。例えば、人工知能(AI)は経済活動の中に急激に取り込まれていますが、AI向けデータセンターで使用される半導体、コネクタなどには、高い導電性と熱伝導性を有する銀が使われています。
自動車分野では電気自動車(EV)やもちろん、先端運転支援システム(ADAS)やセンサーなど、高度化する電子機器に銀が使われています。また、再生可能エネルギーの受け入れと供給を行う送電網、蓄電、充電といった電力インフラでも、銀は使用されています。
これは、銀が「脱炭素」に加えて「デジタル(AI)」、「EV」、「電化」など、世界経済の主力分野を軒並みカバーする重要資源へと立ち位置を変えていることを意味します。昨年、米国や中国などで銀を「重要鉱物資源」、「戦略物資」として再定義する議論が活発化したのは偶然ではないのでしょう。

- 本コラムは貴金属に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・勧誘を目的としたものではありません。
- 本コラム掲載の文章は、全て執筆者の個人的見解であり、当社の見解を示すものではありません。また、文章の著作権は執筆者に帰属しており、目的を問わず、無断複製・転載を禁じます。
- 本コラムの情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、当社は一切責任を負いません。実際の投資などにあたってはお客様ご自身の判断にて行ってください。
- 掲載内容に関するご質問には一切お答えできませんので、あらかじめご了承ください。



