【小菅努氏】純金積立のすすめ【後編】 ~純金積立のメリットとリスク~
- #貴金属投資の基礎知識
2025年11月19日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、マーケットエッジ代表 小菅努氏にコラム「純金積立のすすめ【後編】 ~純金積立のメリットとリスク~」を執筆いただきました。

1976年千葉県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティ・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表に就任。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けのレポート配信業務、各種レポート/コラム執筆、講演などを行う。
純金積立のすすめ【後編】 ~純金積立のメリットとリスク~
執筆日:2025/11/18
10年前から純金積立を続けていた場合
金価格が過去高値圏で大きく変動している際に金投資を始める場合、「純金積立(「石福プラチナ&純金積立」)は有力な選択肢の一つになります。前回の「純金積立のすすめ【前編】」ではその仕組みについて紹介しましたが、今回は過去のパフォーマンスを検証し、さらに純金積立のメリット・デメリットの解説も行います。
純金積立は日々の金の値動きに一喜一憂しない長期投資が基本になります。では、毎月3万円の純金積立を続けた場合、どの程度の量の金を保有できるのでしょうか。【表2】は、10年前(2015年10月)と20年前(2005年10月)からそれぞれ純金積立(毎月3万円)を開始した際の、現在までの金保有量の変化をグラフ化したものです。10年前から開始した場合だと2025年9月時点で約586.6グラム、20年前から開始した場合は約1,673.8グラムが購入されています。時間をかけて、特に金価格が安い局面でより多くの金を購入することで、着実に金の保有量が増えます。
注)年会費等を含まない投資金額のみ、購入価格等は月末価格で計算。以下同様。

金価格が上昇すると、評価金額は増加します
下の【表3】は、10年前に純金積立(毎月3万円)を開始した際の、「積立金額の合計」と「保有する金の評価金額」の比較です。10年間で合計360万円を積立に支出しますが、2025年9月時点で保有する金(約586.6グラム)の評価金額は約1,022万円(=金586.6グラム×金価格17,429円)になります。金価格の歴史的な高騰の影響が大きくなっていますが、差し引き662万円の未確定利益が発生しました。

純金積立は、価格が安い時により多くの金を購入する「ドル・コスト平均法」を採用しているため、金価格が大きく値上がりすると、保有する金の評価額の増加に直結しやすい性質があります。
純金積立のリスクは?
ただし注意が必要なのは、純金積立も通常の金投資と同様の損失が発生するリスクがあることです。金保有量を増やすのが主要目的の場合は別ですが、金投資で利益を出すためには、中長期的に金価格が上昇することが必要不可欠です。この点は、通常の地金や金貨投資と変わりません。
例えば、1980年代や90年代のように金価格が値下がりし続けている環境では、純金積立のパフォーマンスはマイナスとなる可能性が高まります。また、2010年代中盤のように金価格がほぼ横ばいで推移した場合には、大きな損益は発生しません。純金積立には配当や利子・利息などの発生がないため、長期で保有するだけでは利益を得ることはありません。
一方、中長期的な値上がり見通しがあるのであれば、1)投資タイミングを考える必要はなく、2)価格変動リスクを抑制した状態で、3)比較的少額から、4)ほぼ自動的に金を購入し続ける純金積立は、有望な金投資のツールになるでしょう。初めて金投資を行う第一歩としてはもちろん、スポット購入で地金や金貨を保有しながら、純金積立で中長期的な金保有の拡大を目指すといった使い方も可能です。

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