【小菅努氏】元素周期表からみた貴金属
- #貴金属投資の基礎知識
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2026年06月17日
いしふくコラムでは、読者の皆様への情報提供の一つとして、2025年より貴金属に関する四方山話や相場解説などを専門家に執筆いただきます。 専門家の深い知見に触れ、貴金属への興味・関心を持っていただければ幸いです。
今回は、マーケットエッジ代表 小菅努氏にコラム「元素周期表からみた貴金属」を執筆いただきました。

1976年千葉県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティ・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表に就任。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けのレポート配信業務、各種レポート/コラム執筆、講演などを行う。
元素周期表からみた貴金属
執筆日:2026/06/16
貴金属の元素記号の由来
貴金属市場では、金、銀、プラチナ、パラジウムといった名称が日常的に使われています。しかし、これらはあくまでも日本語での表記であり、世界共通の表記(略号)としては元素記号があります。この元素記号は、金がAu、銀がAg、プラチナがPt、パラジウムがPdとなっています。
「Au(金)」は、ラテン語のaurumに由来し、「金」や「黄金」を意味します。さらにその語源を遡ると、輝き、光、夜明けなどに関係するとされます。金が単なる金属ではなく、光輝くものとして認識されていたわけです。
「Ag(銀)」は、ラテン語のargentumに由来し、「白い」、「明るい」、「輝く」といった意味を持ちます。金と同様に輝きが注目されていますが、それと同時に白色がもたらす清らかさも重視されています。ちなみに、南米のアルゼンチン(Argentina)という国名は、当時のスペイン探検隊が銀の産出に強い期待を寄せていたことがきっかけと言われています。
「Pt(プラチナ)」は、英語・ラテン語のplatinumに由来します。スペイン語のplatinaが元になっており、plata(銀)に由来し、銀のようなものを意味します。18世紀のプラチナの発見当初は、銀とプラチナの区別がつきづらかったこともあり、このような名称になりました。銀に比べるとプラチナは加工がしづらかったこともあり、「銀もどき」という扱いでした。現在は、銀よりもプラチナの方が高価になっていますが、当初は使い道がよくわからない、銀に劣る存在とみられていました。
「Pd(パラジウム)」は、英語のpalladiumに由来します。1802年に発見された小惑星Pallasにちなみ、1803年に名付けられました。ギリシャ神話の女神パラス・アテナ(Pallas Athena)に由来していますが、アテナは知恵、戦略、守護などを象徴します。

元素周期表からみた貴金属
次に元素周期表上の位置もみてみましょう。金(Au)と銀(Ag)は同じ縦列に並んでおり、ともに第11族に属しています。銅(Cu)も同じです。周期表で同じ族に並ぶ元素は似た性質を持ちやすく、金と銀、さらに銅は、いずれも電気をよく通し、加工がしやすく、美しい金属光沢を持つ特徴があります。古くから貨幣や宝飾品に使われてきた「貨幣金属」としての共通項もあります。
上から銅、銀、金の順番で並んでいますが、市場価値は概ね下にいくほどに高くなります。原子番号は銅が29、銀が47、金が79となります。上から下にいくほど、「工業素材」から「価値保存資産」へと性格が変化していきます。銅と銀が産業用需要に左右され景気に敏感な一方、金は経済・金融不安に敏感になっています。
これに対して、プラチナ(Pt)とパラジウム(Pd)は第10族に属しています。ニッケル(Ni)も同じです。原子番号はニッケルが28、パラジウムが46、プラチナが78となっています。いずれも触媒、合金などの工業用途に強い金属が並んでいます。環境規制、エネルギー転換、自動車産業、電池、水素関連産業などと結びつきやすい金属が並んでおり、特にプラチナとパラジウムは触媒性能の高さが共通しています。なお、第9族にはロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、第8族にはルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)と、この周辺には触媒用金属が集中しています。

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